出典: AG 700 | Aguilar Amplification
2017年9月24日にaguilar(アギュラー)から新たなベースのヘッド・アンプ「AG 700」が発売されます。
aguilarは1995年に設立されたアメリカ・ニューヨークのアンプ・メーカーです。アンプ以外にも、コンパクト・エフェクターやプリ・アンプ、ピックアップなども製作されています。
チューブ・アンプで有名だったaguilarがソリッド・ステートのアンプを発売したことで話題になったのが「AG 500」というモデルです。「AG 500」はサチュレーション(歪み)回路が搭載された2チャンネルのアンプですが、サチュレーション回路を排除した「AG 500 SC」というモデルも存在します。
どちらもクリアなサウンドで、様々な用途に対応できる実用的なアンプとして人気で、現在は生産終了となっていますが、根強いファンも多い名機です。
新たに発売された「AG 700」は「AG 500」の後継機種と言われていますが、2チャンネルではないので、どちらかと言うと「AG 500 SC」の後継機種かと…。
細かいことはさておき今回は「AG 500シリーズ」と「AG 700」の違いが結構気になっていたのでまとめてみました。
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出力アップかつ大幅な軽量化
出典: AG 700 | Aguilar Amplification
まず注目すべきは機種名を見てお分かりの通り、最大出力が500Wから700Wにアップしています。最大出力がアップしているにも関わらず、重量は「AG 500シリーズ」の8.2kgから2.22kgへと大幅に軽量化。「AG 700」はハイ・パワーかつ軽量化を実現したモデルとなっています。
また、パワー部にはクラスDが内蔵「AG 700」の出力は2.67Ω、もしくは4Ωのキャビネットに接続した際が700W、8Ωでは350Wとなります。
軽量化と共に小型化もされており、大きさの比較は以下の通りです。
・幅
「AG 700」30.5cm
「AG 500」43.2cm
・奥行き
「AG 700」22.9cm
「AG 500」25.4cm
・高さ
「AG 700」7.7cm
「AG 500」8.9cm
専用のキャリーバッグの発売も予定されているので、この大きさと軽さなら気軽に持ち運びもできるかと思います。
端子
「AG 700」の前面には「INPUT」、「SEND」、「RETURN」、XLRの「BALANCED OUT(DI OUT)」、背面には2つの「SPEAKER OUT(スピコン)」と「TUNER OUT」の端子が搭載されています。
端子類に関して「AG 500シリーズ」からの変更点としては、前面にあった「FOOTSWITCH」の端子がなくなっているというぐらいで、大きな変更点はありません。
通常、ベースのヘッド・アンプはエフェクト・ループの「SEND」と「RETURN」や「DI OUT」などの端子類は背面に配置されているものが多いですが、aguilarのヘッド・アンプは前面に配置されており、「AG 700」も同様の配置となっています。
ライブハウスやスタジオにもよりますが、アンプと壁との隙間が狭いことも多いので、エフェクト・ループにエフェクターを接続する人にとって、わざわざアンプの後ろにまわらなくても良いというのは地味にありがたいことかと思います。
コントロール
コントロールは入力レベルを調整する「GAIN(ゲイン)」、イコライザー部は「TREBLE(トレブル)」、「HIGH MID(ハイ・ミッド)」、「LOW MID(ロー・ミッド)」、「BASS(ベース)」の4バンド仕様、アンプからの出力を調整する「MASTER(マスター)」となっており、大きな変更点はありません。イコライザーに関しては微妙に周波数や最大のブースト、カットの値が変更されているようです。
かなり細かい変更点ではありますが、比較した数値をまとめてみました。
・TREBLE
「AG 700」+/- 14dB @4kHz
「AG 500」+/- 13dB @4kHz
・HIGH MID
「AG 700」+/- 14dB @800Hz
「AG 500」+/- 14dB @800Hz
・LOW MID
「AG 700」+/- 15dB @300Hz
「AG 500」+/- 14dB @400Hz
・BASS
「AG 700」+/- 17dB @40Hz
「AG 500」+/- 18dB @40Hz
また「AG 500シリーズ」には「SEND」端子に接続したエフェクターへ送る信号のレベル調整と引っ張ることでレベルを-20dbにできる「SEND」ツマミ、エフェクターから「RETURN」端子に戻した信号のレベル調整と引っ張ることでパラレル(並列)配列からシリーズ(直列)配列に切り替えることができる「RETURN」ツマミの2つが搭載されていましたが「AG 700」ではなくなっています。
「AG 700」ではエフェクト・ループはシリーズ(直列)配列のみとなっており、6dbのゲインが追加されているとのこと。
スイッチ
スイッチ類は「-10dB」のインプット・パッド・スイッチが備わっており、パッシブ、アクティブ、どちらのベースにも対応できる仕様は変わらず継承されています。
また「AG 500シリーズ」同様、高音域のきらびやかな部分を持ち上げる「BRIGHT」スイッチと、より深い低音が強調される「DEEP」スイッチも搭載されています。こちらもイコライザーと同じく、微妙に周波数やブースト・レベルが変更されているようなので、比較したものをまとめてみました。
・BRIGHT
「AG 700」+6dB >3kHz
「AG 500」+5dB >4kHz
・DEEP
「AG 700」+6dB <250Hz
「AG 500」+6dB <100Hz
BALANCED OUT(DI OUT)からの信号をGAINやイコライザーを通る前のものにするか、通った後のものにするかを選択する「PRE/POST」スイッチ、ノイズがひどい時などにアースの切り替えを行う「GROUND/LIFT」スイッチ、背面のTUNER OUTにチューナーを接続した場合、チューニング時に音をミュートできる「MUTE/OPERATE」スイッチも変わらず搭載されています。
そのほかの追加機能
「AG 700」に搭載されている冷却ファンはアンプの温度によってファンのスピードをコントロールする機能が追加されており、低い温度の時のファンによるノイズが改善されているようです。
僕自身、今までそれなりにいろいろとアンプを使用してきた中で、冷却ファンの音がどうしても気なるといったことはなかったので、なんとも言えませんが、静かな場所で演奏する機会の多い人にとってはありがたい機能かもしれません。
おわりに
お値段は実売価格が税込みで10万7,000円前後となっているようです。
正直な感想としてはヘッド・アンプで10万円を超えてくると選択肢も結構広がりますし、この価格帯で小型・軽量、ハイ・パワーなものもいくつかあるので、このタイミングではちょっとインパクトに欠けるかと思います。
700Wのハイ・パワーが必要な場面というのも限られてはくると思いますし、小型・軽量でaguilarの音を求めるなら「Tone Hammer」という選択肢もあるので、ちょっと難しい立ち位置になりそうですね。
今回は僕のように「AG 700」と「AG 500シリーズ」の違いが気になっていた人の参考になれば幸いです。
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