2015.12.09

エレキベースやエレキギター等の電子楽器にはパッシブのものとアクティブのものが存在します。このふたつの違いはピックアップの回路です。簡単に言ってしまえば、電池を必要とするか、しないかの違いになります。

どちらが良い、悪いというものではありませんが、ベースを購入する際にどちらにしようか迷っている人や、そもそもパッシブとアクティブの違いをイマイチ把握していないという人、またパッシブをアクティブに改造したいと考えている人等の参考になればと思い、今回メリット、デメリットをまとめてみました。




パッシブ

パッシブとは直訳すると「受動的」、「消極的」といった意味になります。

1951年に世界初のエレクトリックベースとしてフェンダーから発売されたプレシジョンベースも、もちろんパッシブのものでした。

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photo credit: CaetanoCandal melissa 1 via photopin (license)

メリット

パッシブのメリットとしては、やはりピッキング等のニュアンスを表現しやすいという点でしょう。弾き手のプレイに素直に応えてくれるといった感じです。

温かみのある、自然な低音が出しやすいのは断然パッシブでしょう。パッシブの魅力はなんといっても「ナチュラルさ」です。

また、構造もシンプルで余計な味つけがされていない分、使用されている材等、そのベース本来の特性が活かされやすいと言えます。シンプルが故にベース本体におけるトラブルも少ないでしょう。

演奏する際、トラブルに繋がる要素は可能な限り最小限に抑えておきたいものです。パッシブなら電池切れの心配等もないので、より演奏に集中しやすくなります。

デメリット

一番のデメリットはシールドやジャック部による音質劣化やノイズの影響を受けやすい点です。また、湿度や天候等といった外的な要素にも影響されやすいので、管理にもそれなりに気を使わなくてはいけません。

そういった点で、パッシブは調整が少し難しいですし、安定性にも欠けます。

また、アクティブに比べ、出力も小さいのでエフェクターのノリも悪いと言われています。音の立ち上がり(弾いた瞬間からピークの音量までにかかる時)もアクティブに比べると良いとは言えません。

アクティブ

アクティブは直訳すると「能動的」、「積極的」といった意味になります。

現在では各メーカーから様々なアクティブのベースやギターが販売されていますが、ベースにおいてアクティブのものが登場したのは1970年代前半からです。当時の代表的なアクティブベースとしては、アレンビックやミュージックマンのスティングレイでした。

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photo credit: Roadside Guitars EB MM Stingray Body Close via photopin (license)

メリット

アクティブのメリットとしては出力が大きく、音の立ち上がりも比較的早いです。また、音の劣化も少なく、ノイズ等の影響も受けにくいと言えます。外的な影響も受けにくいため安定性があります。

外的な影響を受けにくいのでエフェクターをたくさん繋いで使いたいという人にも向いていると言えるでしょう。

一般的にアクティブの楽器にはプリアンプというものが搭載されており、そのプリアンプによって手元で音の調整が可能です。ピックアップのボリュームとトーンの調整しかできないパッシブに比べ、音作りのバリエーションも豊富で、調整しやすくなっています。

音質的にもハリがあり、モダンなサウンドが得られると言えるでしょう。アクティブには音圧、パワー感といったものがあるように思います。スラップ奏法向きのいわゆる「ドンシャリ」なサウンドも作りやすいかと思います。

デメリット

よく言われるのが、音がフラットすぎて細かいニュアンスが表現できないという点です。しかし、これは弾き手次第だと僕は思っています。アクティブだから細かいニュアンスが表現できないというのはただのいいわけのように感じます。確かにパッシブに比べればそうかもしれませんが、この点に関しては弾く人や、その他エフェクター等の機材次第なのではないでしょうか。

一番はやはり搭載されているプリアンプへの電源を供給するための9V形の電池が必要となることです。ライブ前にはしっかりと電池の残量チェックを行うなり、新品のものに交換するなりしておく必要があります。

また、電池の残量によって音色が変化してしまう場合もあります。新品の電池に替えたての時はハリのある音色だったのに、しばらくして電池が消耗するとなんだか貧弱な音になっているなんてこともあります。

あと、初心者がやってしまいがちな失敗として、シールドを挿しっぱなしにしておくと電池が消耗してしまうので注意しましょう!ランニングコストもパッシブよりかかってしまいます。

また、構造も複雑なため、パッシブに比べトラブルの原因となる要素も多いと言えるでしょう。

まとめ

パッシブの方はメリットが少なく、デメリットが多いように感じますが、パッシブ独特のローファイな音色を好む人は多いのではないでしょうか。

年齢層でいうと、若い人はアクティブ、年配の方はパッシブを好む傾向にあるように思います。

パッシブにはパッシブの、アクティブにはアクティブの良さがあります。曲やバンドによって使い分けている人も結構いらっしゃいますし、パッシブとアクティブを切り替えられるタイプもあります。

どちらも向き、不向きがあるので、しっかりとそれらを理解した上でご自身の求める音、プレースタイルやジャンルに応じて選んでみて下さい。