2016.04.30

今月4月21日、57歳でこの世を去ったプリンス…。日本のファンの間では「殿下」の愛称で親しまれていた彼。

死ぬ直前に154時間、6日以上も連続で作業していたと報じられています。

死因は未だに不明とされていますが、薬物の多量摂取やら、インフルエンザやら、自殺やらと色々噂はされています。

個人的な見解ではありますが、普通の人間なら154時間もぶっ通しで作業なんてできないでしょうから、薬物摂取で気分がハイになった状態で長時間作業していて、そのまま体調に悪影響を及ぼしてしまったのではないかなぁと勝手に思っています。

ただ、死因はどうであれ、もうプリンスはこの世にいないというのは、紛れもない事実。

今回は殿下のバックで長年ベースを弾き続けたロンダ・スミスと、色んな意味で殿下に影響を与えたラリー・グラハムについてお話していきたいと思います。




プリンスとはどんな人物だったのか?

3EG-group
出典: MEDIA — DONNA GRANTIS

プリンスのことをあまりご存知ない人の為に、一応どういった人物であったのかについても触れておきたいと思います。

僕自身もプリンスがメチャクチャ好きで彼のことについて詳しいというわけではないんですが、スガシカオ氏が好きなので、その影響でプリンスの曲も結構聴いていた時期がありました。

ジャズミュージシャンの両親との間に生まれ、ギター、ベース、キーボード、ドラム等様々な楽器の演奏ができるマルチプレイヤーです。その点でよくスティービー・ワンダーと比較されることが多かったかと思います。

ジャンルも特にこれといった特定のジャンルに留まらず、ロック、ファンク、ヒップホップ、R&B、ジャズ等、様々な音楽を作り上げてきました。

「プリンス」という単体のソロ名義で活動をされていましたが、バックバンドを引き連れて「プリンス&ザ・レヴォリューション」や「プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション」といった名義でも活動されていました。

プリンスが影響を受けたアーティストとしては、ジェームス・ブラウン、スライ&ザ・ファミリーストーン、ジョージ・クリントン、ジミ・ヘンドリックス、カルロス・サンタナ、ミック・ジャガー、レッド・ツェッペリン等がよくあげられます。

主に黒人のファンクやソウルからの影響が大きいかと思いますが、意外にも白人系のロックからの影響も受けているようです。

自身の音楽活動以外にもプロデュース業や俳優としても活躍しておられました。

殿下はベーシストとしても一流!

プリンスは完全なベーシストというわけではないんですが、ベースを持っている姿をちらほら見ることがありました。

で、腕前の方はどうなのかと言うと、とりあえず動画をご覧下さい。

超ファンキーなスラップかましてくれてます!普通にメッチャ上手いし、かっこいいです!

ベーシストとしてもかなりの腕前の持ち主であることはお分かり頂けたかと思います。

ライブではギターやピアノを演奏することがほとんどで、本人がベースを弾くことはあまりなく、バックバンドのメンバーが弾くことが多いようです。

ちなみにローリング・ストーン誌での「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も過小評価されている25人のギタリスト」で第1位に選ばれる程のプレイヤーです。

Rhonda Smith

では本題に入っていきましょう!

プリンスのバックでベースを弾いていた人は何人もいらっしゃるのですが、個人的にはこの人、ロンダ・スミスの印象が非常に強いです。

Rhonda_Smith__2011-02-22_0755
出典: Fender® Forums • View topic – Female Bass players

1996年から約10年間、ベーシストとして殿下のサウンドを支えてきました。アルバムで言うと「Emancipation」からです。

最近ですと、タルちゃんことタル・ウィルケンフェルドの後任として、ジェフ・ベックのバンドメンバーとしても活躍されております。

その他、チャカ・カーン、ビヨンセ、エリカ・バドゥ、ジャスティン・ティンバーレイク、リー・リトナー、パティ・オースティン、パトリース・ラッシェン、ナジー、キャンディ・ダルファー、パティ・ラベル等々、かなりの大物アーティストたちと共演されており、信頼を寄せられているお方です。

これまでに2枚のソロアルバムもリリースされています。

カナダ出身でベースを始めたきっかけは、12歳の時に兄のベースをこっそり拝借して弾いたのがきっかけだそうです。その後、大学でジャズを学んだそうです。

影響を受けたベーシストとしてはジャコ・パストリアスとスタンリー・クラークをあげておられます。

ベーシストとしての幅も広く、4弦のみならず、多弦、フレットレス、アップライトやピッコロ・ベースも弾きこなし、どっしりとした図太いグルーヴからでファンキーなスラップ、メロディアスなベースソロまで奏でられる万能なお方です。

使用機材として、ベースはフェンダーのアメリカンデラックスのジャズベやPRSのものをよく使われているみたいですが、結構色んなベースをお持ちのようで、状況に応じて持ち替えておられます。

アンプはメサ・ブギーの物をメインで使用されているみたいです。その他、弦はダダリオ、シールドはモンスターケーブルだそうです。

殿下とラリー・グラハム

1159863
出典: Official Website of Larry Graham and Graham Central Station.

プリンスはベーシストの皆さんがよくご存知の元祖スラッパー、ラリー・グラハムをかなり尊敬していたようです。

お互いのライブにゲストとして出演し合ったりして、共演もよくされてましたし、非常に仲良しだったみたいです。

そしてラリー・グラハムと言えばエホバの証人の熱心な伝道者としても有名ですが、プリンスも彼の影響でエホバに入信されたと言われています。これについては賛否両論みたいですが…。

エホバの証人だった母親の遺言に従ったという説が有力とされていますが、間違いなくラリー・グラハムの影響もあるかと思います。ふたりでよく聖書の勉強もしてたみたいですし。

プリンスはエホバに入信してから、楽曲も宗教染みた内容のものが多くなりだしたり、これまでの男女の性的なことについて歌った、卑猥な表現が含まれる名曲たちをライブで一切歌わなくなったりと、かつてのプリンスファンをガッカリさせてしまっています。

また、デジタル機器への拒否反応も出だし、ネット配信なども一切行わなくなっていきました。利益云々というより、自身の信念に基づいた活動へとシフトしていきました。

そのせいもあってか、世間からは完全に落ちぶれたかと、勘違いされてしまっていたように思います。

それでもまわりを気にせず、自分の信じた道を突き進み続けたプリンスは、ある意味尊敬に値すると僕は思います。宗教とか思考的なことは人それぞれですからね。

ラリー・グラハムに関するその他の記事はこちら↓

スラップ奏法の生みの親、ラリー・グラハムについて知っておこう!

おわりに

今年はデヴィット・ボウイ、モーリス・ホワイト、そしてプリンスと、大物ミュージシャンたちの訃報が多いですね…。

当たり前ではありますが、彼らがこの世からいなくなったとしても、これまでに残してくれた曲たちは死なないですから。

そう言えば、初めて買ったプリンスのアルバムは「1999」だったなぁとか、当時のこととかも思い出しつつ、名曲たちをまたじっくり聴き返してみたいと思います。