2017.08.06

手の出しやすい価格帯でありながらも機能性にも優れていてZOOMのマルチ・エフェクターがここ最近は非常に人気です。今までに使ったことがあるという人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。僕も「B2」というモデルを一時期使用していました。

ベース用のマルチ・エフェクターとしては「B3n」というモデルが今年2017年1月に発売され、話題になっていました。その「B3n」のライバル機種とされているのが、前回の記事で書いた先月2017年7月に発売されたBOSSの「GT-1B」です。

マルチ・エフェクターの購入を考えている人には、どちらにしようか非常に悩むところなのではないでしょうか。そこで今回は「B3n」との違いを個人的に気になる点を中心に、直感的な感想も含めならがお話していきたいと思います。




エフェクト数とパッチ

内蔵されているエフェクトの数ですが「B3n」は80種類、「GT-1B」は90種類となっています。

また、エフェクトの組み合わせや設定などを記録したものはどちらの機種も「パッチ」と呼ばれ、ひとつのパッチで同時に使用できるエフェクトの数は「B3n」が最大で7つ(使用するエフェクトによっては処理能力の限界を超える場合があるので、組み合わせによって最大同時使用エフェクト数は変わります。 )、「GT-1B」はFX1、FX2、PEDAL FX、OD/DS、PREAMP、NS(NOISE SUPPRESSOR)、DELAY、REVERB、MASTER(MASTER EQ)の各項目の中からひとつずつということで、最大9つとなっています。どちらも接続順は自由に入れ替えることができます。

その他、パッチに関して「B3n」は75種類のプリセット・パッチを含む150種類まで保存可能。「GT-1B」は上書き保存可能なユーザー・パッチが99種類、上書き保存できないプリセット・パッチが99種類となっています。

エフェクトの数では「GT-1B」がやや上回っていますが、そこまで大差はないと言えます。保存できるパッチの数も「B3n」の方が多いですが、正直どちらも十分過ぎる数なのではないでしょうか。そんな大量にパッチを設定する人は少ないかと思います。

内蔵されているエフェクトの詳細に関しては以下を参照下さい。


	BOSS - Support - GT-1B - 取扱説明書
BOSS – Support – GT-1B – 取扱説明書
B3n Multi-Effects Processor | ZoomB3n Multi-Effects Processor | Zoom

ルーパー機能

最近使用されている人が増えてきているルーパー機能ですが、どちらの機種にも備わっています。

「B3n」の場合、モノラル・ルーパー(1ユニット)、モノラル・ルーパー(2 ユニット)、ステレオ・ルーパー(1ユニット)、ステレ・オルーパー(2 ユニット)の4種類のルーパー機能が搭載されていますが、1つのパッチで選択できるルーパーは1つのみとなっています。ユニット数はパッチ内で使用するエフェクト・ユニットの数で、2ユニットの場合はエフェクト2つ分の容量が使用されます。

録音時間はモノラルなら1.5~80秒(UNDOがONの場合は40秒)、ステレオなら1.5~40秒(UNDOがONの場合は20秒 )となっています。

その他、オーバー・ダビング、UNDO・REDO機能が搭載されていたり、録音時間の設定やルーパーの音量調整も可能となっていたりします。また、ルーパーの停止も即停止、最後まで再生した後に停止、フェード・アウトした後に停止の3つの中から選ぶことができ、かなり細かい設定が可能となっています。

多機能なルーパー機能を搭載している「B3n」に対して「GT-1B」のルーパー機能は、録音時間がモノラルで最大で32秒までとなっている他、オーバー・ダビングとルーパーの音量の調整ができるぐらいで、必要最低限のシンプルな機能のみとなっています 。

また、「B3n」には68種類のリズム・パターンも内蔵されているので、ベース1本でルーパーを使ったパフォーマンスを考えている人には断然「B3n」がおすすめかと思います。

外観と操作性

Zoom_B3n_Top_0
出典: B3n Multi-Effects Processor | Zoom

「B3n」には3つのディスプレイが搭載されており、ディスプレイごとにエフェクトのパラメーターを調整する4つのパラメーター・ノブ、エフェクトのタイプやカテゴリーを選択するための2つのタイプ・キー、エフェクトのオン/オフを切り替えるフット・スイッチがあります。

3つのパッチが同時に表示され、各パッチのオン/オフの切り替えもフット・スイッチで簡単に行える仕様となっています。3つのパッチをひとまとめにしたものは「バンク」と呼ばれ、手前のバンク、スクロールスイッチで切り替えることができます。

gt-1b_top_gal
出典: BOSS – GT-1B | Bass Effects Processor

一方「GT-1B」のディスプレイはひとつで、エフェクトの選択やパラメーターの調整は3つのツマミで行い、「▼」と「▲」スイッチでパッチの切り替えを行います。エフェクトのオン/オフの切り替えや調整は6つのエフェクト・ボタンからも可能となっています。

また、CTLスイッチには様々な機能を割り当てることが可能となっています。例えば、コーラスのかかったスラップ奏法用のサウンドのパッチを使用している際、イントロではコーラスがかかった状態でAメロからはコーラスをなしの状態にしたい時に「CTL」スイッチにコーラス・エフェクトのオン/オフの機能を割り当てることで簡単に音色を変えることができます。

ライブなどで音色を頻繁にいくつも切り替えて使用したいという人には、3つまでパッチが表示できて、オン/オフの切り替えも各フット・スイッチで行える「B3n」の方が使い勝手は良さそうだなという印象を個人的には受けました。

「GT-1B」の場合だと、音色を頻繁に切り替える際、パッチの並び順に配慮する必要が出てくるかと思います。

ちなみに大きさと重さは「B3n」が幅234mm、奥行き181mm、高さ58mm、重さは1.28kgで、「GT-1B」は幅305mm、奥行き152mm、高さ56mm(ペダルの傾きが最大の時は74mm)、重さは1.3kg(単3電池4本含む)です。若干「B3n」の方がコンパクトですが、ほとんど差はないと言えるでしょう。

拡張性

「B3n」にはペダルが搭載されていないので、リアル・タイムでエフェクトの調整を行いたい場合、外部のエクスプレッション・ペダルを接続する必要があります。エクスプレッション・ペダル以外のフット・スイッチなどは恐らく対応していないようなので、拡張性はそれほど高いとは言えません。

「GT-1B」に関してはエクスプレッション・ペダルがもともと搭載されている上に、さらにもうひとつのエクスプレッション・ペダルと、2系統までのフット・スイッチが追加で接続可能となっています。2系統のフット・スイッチを接続した場合、様々な機能を割り当てられるCTLスイッチを3つにまで拡張できるということになります。

個人的には「B3n」の方が拡張性は劣りますが、エフェクトのオン/オフを切り替えられるフット・スイッチが既に3つ搭載されていますし、エクスプレッション・ペダルは接続可能なので必要十分かと思います。あと、マルチ・エフェクターのペダルの踏み心地はあまり好きではないので、使うなら外部のものを使用したいかなぁと思っています。

ただ、せっかくコンパクトなボディを売りにしているのに、フット・スイッチやエクスプレッション・ペダルを追加して使用するというのは、なんとなく気が進まない感じがします。

パソコンとの連携

どちらの機種にもUSB端子が搭載されており、パソコンとの接続が可能となっています。

「B3n」はファームウェア・アップデートと、Windows/Mac対応の専用ソフトウェア「Guitar Lab」を使用して、追加のプリセット・パッチなどのダウンロードやパッチの並び替えを行うことができます。ただ、パソコン上でエフェクトの調整などはできないようです。

「GT-1B」も同様にファームウェア・アップデートと、Windows/Mac対応の専用のソフトウェア 「BOSS TONE CENTRAL」にて追加のパッチのダウンロードを行うことができます。さらに、2017年9月にリリース予定のGT-1B専用ソフトウェア「BOSS TONE STUDIO for GT-1B」を使えばパソコン上でエフェクトの調整やバックアップなどの管理を行うこと可能とのこと。

また「GT-1B」に関してはオーディオ・インターフェイスとして使用することもでき、パソコンに録音したり、パソコンの音をアウトプット端子から出力したりすることができます。

わざわざパソコンでパッチの編集を行うことはあまりないとは思いますが、パソコンに録音したいけど、オーディオ・インターフェイスを持っていなくて、別途購入するにも予算的に厳しいという人には「GT-1B」は最適なのではないでしょうか。

その他

細かい点ではありますが、「B3n」にはACアダプターが付属しているのに対して「GT-1B」は単3電池4本付属で、ACアダプターは別売りとなっています。

こういった点はZOOMの方が良心的な印象を受けます。

おわりに

以上が個人的に気になる「B3n」と「GT-1B」の違いでした。

機能によっては多少の差はありますが、正直どちらも非常に優れた機種と言えるので、甲乙つけがたいです。スペックだけを比べると「B3n」が少し優勢かなぁと個人的には感じますが、実際に自分の楽器を繋いで音を鳴らして使い比べてみたら変わるかもしれません…。

それぞれの目的に合った機種を選んで頂ければ思います。マルチ・エフェクターの購入を考えていらっしゃる人の参考に少しでもなれば幸いです。