出典: Yamaha BB Series Demo | BBP34 – YouTube
1977年の登場以来、今年2017年で発売開始40周年を迎えた日本が世界に誇る楽器メーカー、YAMAHAのロング・セラー・モデルであるBB。前回、BBの歴史についての記事でも、軽く触れてはいるのですが、せっかくなので新しいBBの詳しい仕様などを調べてみました。
2010年に名器「BB2000」をもとに、YAMAHAが持つ技術をふんだんに注ぎ込んで誕生した「BB2024」の発売から7年ぶりのモデル・チェンジでどう変わったのでしょうか。春頃からもう楽器屋の店頭には並んでいるので、タイミング的にはかなり遅いですが、今回は新しいBBについてお話していきたいと思います。
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ラインナップ
今回のモデル・チェンジでラインナップされているのは全部で4シリーズ、9モデル。プロ仕様のものから初心者向けのエントリー・モデルまで幅広い層のニーズにあったものが用意されています。
Proシリーズ
メイド・イン・ジャパンのフラッグシップ・モデル。4弦仕様の「BBP34」と5弦仕様の「BBP35」がラインナップされており、カラーはミッドナイト・ブルー(MNB)とビンテージ・サンバースト(VSB)でポジション・マークはブロック・ポジションとなっています。
Proシリーズのみ、完成後に適切な振動を楽器に与え、完成直後の塗料や接着剤などのストレスを軽減し、楽器の振動を欲心させる「I.R.A.(Initial response Acceleration)という技術が施されており、新品でも弾きこんだ状態に近くなっているとのこと。
付属品としてハード・ケースがついてきて、お値段は実売価格で「BBP34」が税込み約19万7,000円、「BBP35」が税込み約21万1,000円となっています。
700シリーズ
シリーズで唯一アクティブ・サーキットが搭載されています。もちろんパッシブとの切り替えも可能。こちらも4弦仕様の「BB734A」と5弦仕様の「BB735A」がラインナップされています。カラーはダーク・コーヒー・サンバースト(DCS)とマット・トランスルーセント・ブラック(MTBL)となっており、こちらもポジション・マークはProシリーズと同じくブロック・ポジション。個人的にはこのマット・トランスルーセント・ブラックが一番渋くて好みです。
付属品としてギグバッグがついて、実売価格は「BB734A」が税込み約9万6,000円、「BB735A」が約10万5,000円です。
400シリーズ
比較的リーズナブルな価格ながらも、しっかりとBBの音を継承したコストパフォーマンスに優れた中級者向けシリーズといったところでしょうか。4弦仕様の「BB434」と5弦仕様の「BB435」以外に、400シリーズのみメイプル指板のモデル「BB434M」が用意されています。そのほかのモデルはすべて指板がローズウッド仕様となっています。
カラーはティール・ブルー(TB)、タバコ・ブラウン・サンバースト(TBS)、ブラック(BL)との3カラーとなっていますが、メイプル指板の「BB434M」のみティール・ブルーはラインナップされていません。ポジション・マークはドット・ポジションとなっています。
お値段は実売価格で「BB434」が税込み約5万9,000円、「BB435」が税込み約6万8,000円、「BB434M」が税込み約6万4,000円となっています。
200シリーズ
BBの伝統を継承した、初心者向けのエントリー・シリーズ。こちらも4弦仕様の「BB2340」と5弦仕様の「BB235」がラインナップされており、カラーはシリーズの中でもっともバリエーションが多く、ラズベリー・レッド(RBR)、ブラック(BL)、ビンテージ・ホワイト(VW)、イエロー・ナチュラル・サテン(YNS)の全4カラーとなっています。ポジション・マークは400シリーズ同様ドット・ポジションとなっています。
実売価格は「BB234」が税込みで約3万9,000円、「BB235」が税込みで約4万4,000円です。
主な特徴
今回のモデル・チェンジでは、これまでのBBの特徴的なルックスは受け継ぎながらも、ボディが以前のモデルよりもコンパクトかつ、薄く軽くなっており、ピックガードのデザインも一新されています。ボディの小型・軽量化に伴い、ヘッドも合わせて小型化、ペグも軽量なものを採用。ネックの形状もスリムになっているため、全体のボディ・バランス、演奏性が向上されているとのこと。
また、Proシリーズと700シリーズのボディはメイプルをアルダーで挟んだアルダー/メイプル/アルダー3プライのボディ構造となっています。アルダーに挟まれた硬質なメイプルが中高員を豊かにしてくれるとともに、ネックにもメイプルが使用されているので、ボディとネックとの間での音のロスが軽減されるとのこと。
出典: BB – 概要
ネックは200シリーズ以外、メイプルとマホガニーの5ピースで反りやねじれに強い構造となっています。今回ネックはスルー・ネックのモデルはなく、すべてボルト・オン仕様となっています。
200シリーズ以外はボディ裏面から垂直にネックを固定する4本のネジに加え、45度の角度でネック・エンドを固定する2本のネジを追加した「マイター・ボルティング・ジョイント」が採用されています。通常のボルト・オンに比べ、ボディとネックが強固にされているため弦振動のロスが少なく、強烈な鳴りと豊かなサスティーンを得られるとのこと。
この「マイター・ボルティング・ジョイント」という技術はネック・ベンド奏法を多用するMR.BIGのベーシストであるビリー・シーンのシグネチャー・モデル、ATTITUDE LTD3にも採用されています。
出典: BB – 概要
ピックアップに関しては今回ラインナップされている4つのシリーズ、それぞれに合わせて新たに独自開発されたものを搭載。これまでのBBサウンドを継承しつつも、中高音域のアウトプット・ゲインを向上させ、輪郭のあるクリアなサウンドが実現されているようです。
そのほか、200シリーズ以外は前作でも好評だった弦を裏から通す「ストリングス・スルー・ボディ」を採用。ただ、一般的な裏通しとは違い、45度の角度がついた構造となっており、プレート部とサドル部での弦振動のロスを軽減できるとのこと。
また、Proシリーズと700シリーズにはビンテージ・ブラス・ブリッジを搭載。サドルは真鍮製でプレートはスティール製、スプリングやネジなどの金属パーツは錆や腐食への耐性を考えたステンレス製となっています。
出典: BB1024 – 特長
BBは以前、ベースの講師をしていた音楽教室に置いてあったものを何度か弾いたことがあるのですが、ボディは若干大きめでネックも分厚く広めに感じたので、プレシジョン・ベースの弾き心地が好きな人向きといった印象でした。
ただ、今回ボディが小さくなり、ネックもスリム化されたということで、僕のように普段Fender系のジャズ・ベースを愛用している人でもあまり違和感なく移行できるのではないでしょうか。
BB愛用者
世界中にBBの愛用者はたくさんいらっしゃいますが、日本のメーカーなので、今回は日本人のベーシストをピックアップしてみました。
・亀田誠治
Fenderのジャズ・ベースのイメージが強い亀田誠治氏ですが、BB愛用者としても有名です。2012年3月に30本限定でYAMAHAから発売されたシグネチャー・モデル「BB2024SK」のほかに、「BB2000」や「BB5000」なども所有されています。
・武田祐介(RADWIMPS)
ベース・マガジンの最新号(2017年11月号)の表紙も飾っている武田祐介氏はメインでYAMAHAのBBを愛用しています。5弦のBB Customをはじめ、ネイザン・イーストのシグネチャー・モデル、「BB-NEⅡ」やBB以外にもYAMAHAの「TRB6PⅡ」も愛用されているとのこと。
最新号のベース・マガジンの取材ではメインのBB CustomのほかにWarwickのWB Thumb NT 4strings Ltd 2017 35th Anniversary Natural Satinも持参されていたようです。
・飯田祐馬(KANA-BOON)
某宗教団体に出家した元女優のあのお方といろいろとあったKANA-BOONの飯田祐馬氏も現在メインでBBを使用しておられ、所有されているのは「BB2024X」とのこと。
おわりに
非常に歴史の長いモデルでありながらも時代とともに常に進化を続けているBB。今回のモデル・チェンジの詳細を調べてみて、YAMAHAがアンプを通す前の生音、ベースそのものの鳴りをいかに重視しているか、YAMAHAのこだわりを強く感じました。
新しいBBも機会があれば手に取ってみて、そのこだわりの生音を体感してみたいなと思います。
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