2017.08.12

それなりにベースが弾けるようになってきたら、機材関連に興味が湧いてくる人も多いかと思います。

そろそろエフェクターの購入を考えてはいるものの、コンパクト・エフェクターにしようか、マルチ・エフェクターにしようか悩んでいる人や、そもそもこのふたつの違いがよく分からないという人も結構いらっしゃるのではないでしょうか?

今回はマルチ・エフェクターとコンパクト・エフェクターの特徴や、それぞれのメリットとデメリットを僕なりにまとめてみましたのでお話していきたいと思います。




機能性

まず機能性についてですが、コンパクト・エフェクターは基本的にひとつの機能しかありません。中には2つ、3つの機能を持ち合わせたものもありますが、歪みなら歪み、コーラスならコーラスといったようにひとつの機能しかないものがほとんどです。

それに対して多機能なものがマルチ・エフェクターです。機種によって搭載されているエフェクトの数は異なりますが、多いものでは100種類近くの機能が搭載されているものもあります。

コンパクト・エフェクターだけでいろいろな音色を揃えるにはそれなりに数が必要となりますし、数が多くなればなるほど持ち運びの際に不便です。また、数が増えてくると各エフェクターを接続するケーブル、それぞれに電源を供給するACアダプターやパーワー・サプライなども必要となってきます。

エフェクターの数が増えてくるとエフェクター・ボード内の配置を考えたり、ケーブルの長さもそれぞれに合ったものを用意しなければいけなかったりするので、結構な手間がかかります。ライブなどでも、機材トラブルが起きた際にチェックする項目がエフェクターの数だけ多くなるので、復旧までに時間がかかってしまいます。

マルチ・エフェクターなら1台で様々な音色を出すことができますし、パッチにエフェクターの接続順や設定を保存しておくことができるので、組み合わせなどをまとめて変更することも可能です。

また、マルチ・エフェクターを1台だけ使用する場合、他のエフェクターと接続するケーブルも必要ありませんし、電源もひとつで済みます。機材トラブルが起きた際もチェックする項目が少ないので、比較的短い時間で復旧できる可能性が高いです。

機能性だけを見れば、マルチ・エフェクターに軍配が上がると言えるでしょう。

音質

続いて音質ですが、コンパクト・エフェクターは空間系のものはデジタル製品も多いですが、歪みなどに関してはアナログ製品がほとんどなのに対して、マルチ・エフェクターは基本的にデジタル製品です。デジタル製品はアナログ製品の音色を擬似的に再現しているため、どうしても人工的なデジタル臭い音になってしまいがちです。

最近は技術も進歩しているので、マルチ・エフェクターでもそれなりにアナログ製品に近い音にはなってきていますが、完全に再現するのはやはり難しいようで、音色にこだわる人はやはりコンパクト・エフェクターを選ばれる人が多いです。

特に歪みに関しては本来、アンプのボリュームの増幅過多によって自然に生まれるものなので、デジタルでは再現が難しく、デジタルで再現した歪みは耳に痛い音になってしまいがちです。

音質に関しては、コンパクト・エフェクターの方が良質なものが多いと言えるので、とことん音質にこだわりたいという人はコンパクト・エフェクターを選んだ方が良いのではないでしょうか。

ただ、最近のマルチ・エフェクターは以前より音質も向上してきているので、そこまで音質にこだわりがないのであれば、マルチ・エフェクターでも十分かと思います。

僕がBOSSのGT-6BやZOOMのB2を使用していた時はプリ・アンプと歪み系などはコンパクト・エフェクターを使用し、その他の音色はマルチ・エフェクターという使い方をしていた時期もありました。空間系に関してはマルチ・エフェクターでも結構良い音がしていたので、いろいろと入っているマルチ・エフェクターは非常に便利でした。

アナログにはアナログの良さ、デジタルにはデジタルの良さがあるので、それぞれの好みに合わせて選んでみて下さい。

操作性

操作性に関しては基本的にひとつの機能しかない、コンパクト・エフェクターの方が圧倒的に高いと言えるでしょう。各パラメーターの意味が分からなくても、調整するツマミも少ないので、繋いで音を出してツマミをまわしながら調整するといった直感的な音作りが行いやすいです。

マルチ・エフェクターも最近のものは比較的シンプルな操作で音作りができるものも増えてきましたが、やはりある程度説明書などに目を通して、使い方を把握しておかないと使いたいエフェクターが見つからなかったり、調整したいパラメーターに辿りつけなかったりして思い通りの音色を作るのに時間も労力もかかってしまいます。

機材をいじるのが好きな人にとってはマルチ・エフェクターでも問題ないかと思いますが、苦手な人が上手く使いこなせるようになるまでには時間がかかってしまうでしょう。

人それぞれ得意不得意があるとか思うので、ご自身で判断して選んでみて下さい。

コスト・パフォーマンス

最後にコスト・パフォーマンスについてですが、これは圧倒的にマルチ・エフェクターの方が高いと言えます。以前の記事でもお話したBOSSの最新機種のGT-1BやZOOMのB3nなどは2万円ほどで購入できるにも関わらず80~90種類のエフェクトが搭載されています。

コンパクト・エフェクターの場合、値段はピンキリではありますが、高いものでは5万円以上するものも普通にあります。欲しい音色をコンパクト・エフェクターだけ揃えるとなるとかなりのお金が必要になってきますし、先にも述べましたが、エフェクター以外にも必要なものも増えてきてさらにお金が必要になってきます。

予算にそれほど余裕はないけど、いろんな音色が欲しいという人にはマルチ・エフェクターをおすすめします。ただ、欲しい音色がそれほど多くなくて、明確になっているのであれば、コンパクト・エフェクターを選んでおいた方が良いかと思います。

正直、マルチ・エフェクターには個人的に必要ないと感じる機能がいくつかあったりもしますし、多機能というだけでマルチ・エフェクターを買って、思っていた音色と少し違っていて納得できなくて結局お蔵入りしてしまうぐらいなら、はじめから欲しい音色のコンパクト・エフェクターを選んでおいた方が最終的なコスト削減にも繋がるのではないでしょうか。

おわりに

コンパクト・エフェクターとマルチ・エフェクターの大まかな違いについてはある程度ご理解頂けたかと思います。

どちらにもメリット、デメリットはあるので、それらを踏まえて購入を検討してみて下さい。

結局のところ、それぞれ必要なものを買えば良いということになってはしまうのですが、エフェクターを購入する際のヒントや、皆さんのエフェクターの知識に貢献できたなら幸いです。