2015.11.22

スラップ、チョッパー、人によって呼び方が違うことがありますが、どちらも弦を親指で叩いたり、人差し指、または中指で引っ張ったりして音を出す奏法のこと指します。ここではスラップという呼び方で統一していきます。

弦を親指で叩いて音を出すのをサムピング、人差し指、または中指で弦を引っ張って音を出すのをプル、プラッキングと言います。

初心者にはなかなか敷居の高い奏法のように思われがちですが、最初に仕組みをしっかり押さえて練習すれば、それほど難しくはないでしょう。

スラップには大きく分けて、親指の向きが上向きのスタイルと、下向きのスタイルの2つが存在します。今回はその2つのスタイルを比較しながら、解説していきます。




ベースの位置

親指が上向きスタイルの場合はベースの位置が腰より上のあたり、座った状態で弾くのと同じ位置ぐらいでないとできません。ラリー・グラハムやマーカス・ミラーといった、ファンクやフージョンといったジャンルのベーシストに多いスタイルと言えるでしょう。

一方、親指が下向きスタイルの場合はベースの位置は高くても低くてもどちらでも対応可能ですが、ベースの位置が比較的低いロック、ミクスチャー系のベーシストに多いかと思います。このスタイルで有名なのが、Red Hot Chili PeppersのフリーやKornのフィールディーあたりでしょう。親指が下向きのスタイルをフリースタイルと呼ぶ人もいます。

サムピングのアップ・ダウン

ピック弾きでいうオルタネイト・ピッキングです。親指をピックのようにしてのサムピングでアップ・ダウンを行う奏法は親指が上向きのスタイルでしかできません。このサムピングのアップ・ダウンが可能というのは親指が上向きスタイルの大きなメリットのひとつと言えるでしょう。

ただ、そこまで頻繁に登場する奏法ではないですし、親指が下向きスタイルの場合はできませんので、使わないという人も結構いらっしゃいます。

しかし、曲のテンポにもよりますが、サムピングのダウンのみではやはり限界があります。アップを取り入れることでより細かく、速いフレーズを弾くことができるようになりますので、表現の幅を広げるという意味では習得しておいて損はないでしょう!

コツとしましては、サムピング・ダウンの際にあまり親指を深く入れすぎないことです。深く入れすぎてしますとアップの際の弦の抵抗が強くなってしまうので、親指が引っかかってしまいきれいに音が出せません。最初は力を抜いて親指で弦をこするような動作から始めて、徐々に動きを大きくしていくことをおすすめします。

また、サムピング・ダウンとアップでは音量のバラつきが出てしまいがちになりますので、なるべく音の大きさのツブをそろえて弾くことを意識して練習しましょう!

サムピング・ダウンの跳ね返りと振り抜き

サムピングには親指が弦にヒットした瞬間の反動の跳ね返りを利用した弾き方と、親指で弦を振り抜いて隣の弦にあてて止める弾き方があります。親指が上向きのスタイルはどちらも可能です。振り抜かないとサムピングのアップはできないですからね。下向きのスタイルは跳ね返りのみとなります。

跳ね返りと振り抜きでは音色的にもかなり違いが出てきます。おおまかに言うと、跳ね返りはパーカッシブ寄りな音、振り抜きは野太い音が出せます。

また、フレーズによって使い分けている人も多いかと思います。連打を多様する際は跳ね返り、アップ・ダウンを使う際は振り抜き、というように自分の出したい音、弾くフレーズによって使い分けてみてもいいんじゃないでしょうか。

ちなみに私はベースの位置高めで跳ね返り、振り抜き使い分けタイプですが、個人的にサムピング・ダウンの跳ね返りの連打はベースの位置を低めにして、肘がわりと伸びた状態の親指下向きスタイルで弾く方が比較的楽に弾ける気がします。

まとめ

親指が上向きスタイルの方が表現の幅という点ではできることは確かに多いです。しかし、サムピングのアップ・ダウンは必要ないという方もおられるでしょうし、できなくても困るという場面もあまりないのでは、とも思います。

ご自身がベーシストとしてどういった表現をしたいかによって変わってきので、それぞれのスタイルの特徴を踏まえて、取り入れていってもらえればと思います。