2017.10.01

前回、ベースの弦を交換するタイミングや弦の劣化についてお話いたしました。ただ、ベースの弦はギターの弦に比べて値が張るため、定期的に交換したくても、経済的に難しいといった人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、少しでも弦を長持ちさせるにはどうすれば良いのか、弦の寿命を長くする方法についてお話していきたいと思います。




弦が死にやすい条件

まず、どういった条件だと弦は死にやすくなるのかについてお話していきたいと思います。

手汗

まず、手汗をかきやすい人が弾くと弦は死にやすくなります。なんとなく想像はつくと思いますが、汗には塩分や乳酸、尿素などといった老廃物も含まれているため、その汗が弦の細かな溝や隙間に入りこむことにより錆が生じてきます。

錆が生じるとどうなるのかというと、新品の弦は真円(しんえん)の状態、つまり完全な円状なのですが、錆が生じることで真円ではなくなってしまいます。結果、弦がきれいに振動しなくなり、倍音も出にくくなります。

金属疲労

そして、もうひとつの条件としては、弦の金属疲労です。くり返し長時間、強い力を加え続けると強度などが下がってしまい、いずれ破損してしまいます。

具体的な例をあげますと、弦高が高い、ピッキングのタッチが強い、音数の多いフレーズをよく弾くなどといった人は金属疲労によって弦が死にやすくなっていると言えます。

弦を長持ちさせるには

では本題ですが、弦を長持ちさせるには弾く前と弾いたあとのケアが重要になってきます。

一番手軽な方法としてはやはり弾く前に手洗いを行い、手の油分をしっかりと落とすことです。ちょっと手間かもしれませんが、これなら誰でも簡単にできるかと思います。

ほかには、専用のクリーニング・クロスなどでベースを弾く前と弾いたあとに弦を拭いて汚れを落とすのも効果的でしょう。

「BassBrites(ベースブライツ)」といった弦の寿命を伸ばすことに特化した専用のクリーナーも販売されています。弦に付着した汚れや油分を落とすのはもちろんのこと、酸化や腐食の抑制もできるようです。

「BassBrites(ベースブライツ)」という商品名ですが、ベースの弦以外にも、ギターの弦などの金属製の弦を使用している楽器であれば使用でき、指板を痛める心配もないとのこと。

TONE GEAR(トーン・ギア)から発売されている「The String Cleaner」は弦を挟み込むタイプなので、汚れのたまりやすい裏側も短時間で簡単にクリーニングができ、寿命を伸ばすことのできる便利なアイテムです。

フィンガー・イーズを使用することでも、弦に付着した汚れや錆を除去できるので、多少寿命は長くなるかと思います。

弦だけではなく指板にも手垢などが付着しており、錆の原因にもなります。専用のクロスで指板やフレットなども拭いたり、レモン・オイルやオレンジ・オイルなどでケアしたりすることも弦を長持ちさせるのに効果的かと思います。

また、金属疲労の面で考えると、やはり弾き終わったあとは少し弦を緩めておいた方が良いかと思います。長時間、強い張力をかけたままよりは、弦にも休息を与えてあげた方が弦の寿命も長くなるのではないでしょうか。

ただ、完全に緩めてしまうと、再度チューニングした時になにも力が加わってない状態からいきなり強い張力をかけてしまうことになり、ネックにも負担をかけてしまう恐れがあるので、注意が必要かと思います。

死んだ弦を復活させる方法

ベーシストならご存知の人や試したことがあるという人も多いかと思いますが、鍋の中に死んだ弦を入れ、お湯で茹でることで復活します。茹でる時間に関しては30分という人もいれば、3分という人もいらっしゃいます。人によってさまざまですが3~10分程度が無難かと思います。

過去に僕も実際に試してみたことがあります。確かに死んだ状態からは復活しますが、やはり新品には敵いません。しかも1日ほどですぐにまた元の状態に戻ってしまいます。

それに弦を外して、茹でて、また張り直してと、非常に手間がかかってしまいます。わずかな弦の復活のために、このような手間をかけてまですることなのかどうかは、ご自身で判断ください…笑

僕はもう二度と弦を茹でることはないかと思います。

おわりに

少々手間ではありますが、日頃のちょっとしたケアで弦の寿命を長くすることは可能です。それを面倒だと感じるかは人それぞれですが、定期的に弦を交換していたら、弦にかかるコストもバカになりませんからね…。

少しでも弦の寿命を長くしたいという人の参考になれば幸いです。