2017.03.07

映画「JACO」も公開が終了しているところがほとんどとなってきていますが、皆様もうご覧になられましたでしょうか??

ここしばらくジャコ・パストリアス関連の記事がほとんどですが、もう少し続きそうです。

今回はジャコの使用機材についてです。ベース本体については過去の記事をご覧頂ければと思いますので、ベース以外でジャコのサウンドを形成していた機材についてお話していきたいと思います。




アンプ

ジャコが愛用していたアンプは伝説の名機と言っても過言ではない、アコースティック社のプリアンプヘッド360と パワードキャビネット361の組み合わせです。

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出典: 1971 Acoustic 360 | Chris Nelson

ジャコ・パストリアスサウンドを語る上で1962年製のフェンダージャズベース、通称Bass of Doomと同じぐらい重要な機材と言えるでしょう。

ジャコが愛したアコースティック社のアンプは1960~1970年代に数多くのミュージシャン達に使用され、ジャコ以外にもレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズやラリー・グラハム、レッチリのフリーなんかも気に入って使用しておられます。

アメリカ、ロサンゼルスのサンセット大通りにて1960年代後半に生まれたアンプメーカーで、正式な名称は「アコースティック・コントロール・コーポレーション」という社名です。1980年代に一度事業を停止していますが、2007年に「アコースティック・ アンプリフィケーション」と名称を変更して再開されています。

ジャコがこのアンプを使用するようになったのは、親友のボブ・ボビングと共に見に行ったライブでカルロス・ガルシアというベーシストが使用していたのを聴いたのがきっかけだったそうです。

ジャコが実際に使用していた360はTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉氏が所有しているそうなんですが、ノイズが酷くて使い物にはならないみたいです…。 なぜ吉井さんが!?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、THE YELLOW MONKEYを結成する前はベーシストとしてバンド活動されており、ジャコマニアでもあるそうです。

また、ジャコはアコースティック以外では1980年代半ば頃からハートキーのキャビネットも使用されていました。ハートキーの創始者である、ラリー・ハートキーとロン・ローマンがジャコのローディーからアンペグの810のキャビネットを譲り受けてアルミコーン搭載のプロトタイプのものを組んだところ、ジャコもその音を気に入り、使用するようになったそうです。

続いてジャコが愛用していた弦ですが、ロトサウンドのSWING BASS 66を使用されていました。

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出典: SWING BASS 66 | ROTOSOUND

ジャコは一度弦を熱湯に通してから使用していたという説もあります。 このRS66 swing bassはステンレス製のラウンドワウンド構造となっています。

ステンレスのラウンドワウンド弦にフレットレスという組み合わせはジャコの甘いトーンでありながらもブライトさも損なわれていない独特のサウンドの重要な要素のひとつと言えるでしょう。

フレットレスのベースを使用されている方は指板に痕がついたり、削れたりするのを極力抑えるためにどちらかと言うと フラットワウンドの弦を張っている方が多いかと思います。弦の押さえ方等によってはフラットワウンドでも痕がついてしまうみたいですが…。

ジャコのベースはエポキシ樹脂製のクリア塗料を指板に塗って保護していましたが、それでもラウンドワウンド弦を張っていたので、ライブ以外ではフレットレスは使用せず、練習等で弾く際はフレッテッドを使用していたと言われています。

ちなみにロトサウンドは世界で初めてラウンドワウンド弦を製品化したメーカーとしても有名です。The Whoのベーシストであるジョンエントウィッスルの要望がきっかけで開発されたと言われています。Mr.Bigのビリー・シーンモデルやアイアン・メイデンのスティーブ・ハリスモデルなんかもあります。

ロトサウンドの弦は張ったことがないので、個人的な感想は述べられませんが、テンションは緩めで、手触りはザラついているのが特徴とされています。

エフェクター

基本的にジャコはバンドのアンサンブルの中でエフェクターを多用することはほとんどありませんが、ソロのパフォーマンスではバッキングをディレイでループさせ、その上でソロを弾くというのが有名かと思います。

使用していたのはMXRのM113 Digital Delayというラックユニットタイプのものです。当時、その他にも良いディレイはあったそうですが、ホールドタイムが1秒程と短すぎるためMXRのものを使用していたそうです。

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出典: MXR (Rack Units) – (M-113) Digital Delay – Effects Freak

今ではループステーションのようなエフェクターも出てきたり、ディレイのホールド機能も充実してきたりしているので、それ程珍しくはなくなってきていますが、当時は斬新かつ革命的だったと言われています。

また、ソロではファズに近い感じのディストーションもよく使用されていました。使用してしたのはノーブランドのもので、ディレイの機能も付いていたとのこと。

エフェクターを使用してのジャコのソロパフォーマンスの動画をあったので、まだ見たことがないという人はお時間ある時にでも、是非一度ご覧下さい。

おわりに

ジャコと同じ機材を使いたい、少しでもジャコのサウンドに近づきたいと思っている人にとっては、本人が使用していたものを今手に入れるのはなかなか困難かと思います。

ただ、個人的に僕は全く同じ機材でも、弾く人が違えば音も違ってくると思っています。もちろんそれっぽい、近い音は出るとは思いますが。

そんなこと言っても、なんだかんだ人が使っている機材ってやっぱりどうしても気になってしまうんですけどねぇ…(笑)

でも、機材が素晴らしくても弾き手がショボくては宝の持ち腐れになってしまいますので、まずは機材に頼らず頑張りましょう!笑

僕も頑張ります…(笑)